台北。表通りの喧騒から少し入ったビルの中、白い小ぶりの茶杯に注がれた琥珀色のお茶。その魅惑的な甘い香りを胸いっぱいに吸い込み、お茶を飲む。まるで体中からお茶の香りが立ち昇ってくるようでした。
私達夫婦がニューヨークのオークション会社で働いてた頃は、ただただ忙しい毎日の中で漫然とお茶を飲んでいました。台北で古美術商を営む妻の実家から送られてくるコンテスト茶は、それはそれで美味しいものでした。東京に戻った後、台北で訪れた数軒の茶人のサロンでの体験は今までの私たちのお茶に対する意識を全く変えてしまいました。心を鎮め、お茶を煎れる。香りに酔いしれ、水色を愛で、その味わいを楽しむ。心を込めた一杯のお茶は私達を深い恍惚へと引き込みました。「茶清心(茶ハ心ヲ清メル)」私たちはお茶を通して感じられる、感動、幸福感、心の安らぎ、そして清々しさを、もっと多くの皆様にも感じていただこうと、この店を思い立ちました。
最高品質のお茶は生産量も少なく、一部の茶人や芸術家、文化人の間だけでその殆どが流通し、街の茶商や茶芸館で売られたり、ましてや海外へ輸出できるほどの量はありません。私達は台湾とのコネクションを活かし、有力な専門家や茶人の協力を得ることができました。いずれも科学的なお茶の知識を持ち、茶業界と文化の中では重要な存在です。私達はそんな彼らとともに毎シーズン、現地で何十種類も飲み比べ、厳選した茶葉を仕入れております。それらは決して値の張るものばかりではなく。比較的リーズナブルなものもあります。
ただ希少で高級なお茶をお届けすることばかりが私達の目標ではありません。上質なお茶がもたらす贅沢で豊かな時間、ゆったりとした気持ちをお届けしたいと思っております。お茶の楽しみ方は色々です。お茶と向き合い、自分自身と向き合う時間を持つ。パートナーや友人とのコミュニケーションに興じる。上質なお茶がもたらす豊かな時間に身を委ねれば、貴方はきっと、心の清々しさに気付くことでしょう。
古くから東方美人(オリエンタルビューティー)や正山小種(ラプサンスーチョン)などで知られる東洋のお茶は西洋の貴族を魅了し、当地では独自の文化を発展させました。私たちは東京で、洋の東西を越えた台湾茶・中国茶の楽しみ方を提案してゆきたいと考えております。現在は、安心してお飲みいただける無農薬・無化学肥料のお茶を中心に揃えております。今後もヴィンテージのお茶や個性的なお茶、そして美しく使い易い茶器なども加えてゆくつもりです。
お茶を通して、貴方の日常が少しだけ豊かになることを願っております。
アンジェラ・ウー (呉 曉芳)
台湾 新竹市出身 池宗憲氏に中国茶について師事
青山学院女子短期大学 教養学科卒業
ニューヨーク大学(NYU)大学院 アートマネージメント修士号取得
ニューヨーク現代美術館 (MOMA, NYC, USA), Mariko Mori Studio (U.S.A.), Christie's, New York (U.S.A.), Motif Art Consulting(U.S.A.)を経て、現在「藝術家雜誌」(Artist Magazine)と「藝術收藏+設計雜誌」(Art Collection+ Design)でコラムを担当
「英國水彩畫大師 - 泰納」 (藝術家出版社)
「歐洲名窯陶瓷鑑賞」 (藝術家出版社)
「西洋玻璃藝術鑑賞」 (藝術家出版社)
「瓷金風華 - 歐洲名窯瓷器藝術展」(2006年, 台北縣立鶯歌陶瓷博物館)
台北故事館夏天茶會,台南泰郁美學堂藝術茶會 など 「Formosa Oolong Tea 百年茶香 與茶對話」展 と「 Formosa Oolong Tea 國際品牌論壇」の中国民国建国百年記念イベントで『日本においてお茶のブランドの発展について』を発表。(2011年,台北市有記名茶)